『航路』上下

航路〈上〉 (ヴィレッジブックス) 航路〈下〉 (ヴィレッジブックス) コニー・ウィリス (ソニーマガジンズ)

臨床心理学者のジョアンナは臨死体験に関する研究を行っている。新たに薬物投与によって人為的に臨死体験を誘発する研究を行っているリチャードと共同研究をすることになったのだが、被験者が見つからない。見つかっても辞めてしまったりと様々な問題が。そこで、業を煮やした彼女は自分が"潜る"ことに…。彼女は「そこ」で何を見るのか?


ドゥームズデイブック』に続きコニー・ウィリス2作目。舞台である病院をあちこち駆け巡る様や、彼女の研究を阻害する(?)臨死体験本の著者Mr.マンドレイクとのやりとりなど、ドタバタ感は結構『ドゥームズデイブック』に似たものがある。そういうのが好きなんだろうか。今度機会があれば『リメイク』あたり読んでみようか。そして登場キャラクターもきちんと立っていて非常に個性豊かな人ばかり。「アメリカの宮部みゆき」という大森氏の談にもうなずけるというもの。中でも愛されるべきキャラクターは心臓の病気で入退院を繰り返す少女メイジーだろう。子供なのに妙に大人っぽい意見を持っていたりして。でもやっぱり子供ならではの感性があって、それが物語最後の段でおおいに関わってくる訳なんだけれど。


死体験(あるいは死に逝くとき)をした場合、私はどのような光景を見るのだろうか。トンネルや光を見るのだろうか。あるいはジョアンナと同じ「場所」に行くのか?ものすごく興味があるけれど、そのときの自分の経験は誰にも話すことができないんだなあ、と思うとちょっぴり寂しくもなる。