『世界は密室でできている。』

世界は密室でできている。 (講談社文庫) 舞城王太郎 (講談社 講談社文庫)
12の夏、親友ルンババの姉が自宅の屋根から飛び降りて死んだ。そして起こる数々の密室殺人事件。ルンババは名推理で奇想天外なそれらの事件を解いてゆく。そんななかで知り合うことになった、ちょっとエキセントリックなツバキ、エノキ姉妹。少年の日常としてはかなり異常な日々。そして彼らの心の中にはいつも19で死んだルンババの姉のことがあった…。


煙か土か食い物』の時のようなスピード感は感じられなかった、ように思える。でもエキセントリックな内容は同じ。というかそれ以上かも。とにかく起こる事件のトリックがあまりに破天荒なのだ。こんなのアリか〜、て感じ。氏が「こんなの思いついたから書いてみたんだー。見て見てー。」という感覚で書いているみたい。いや、むろん、そんな軽いノリではないんだろうけど。だからやっぱりトリック暴きが本筋じゃあないんだと思う。ここで描きたかったのは主人公とルンババの友情、エノキとの友達以上恋人未満な関係。これらも「愛」の一つの形。さしずめ、"愛の伝道師"舞城王太郎ってとこかな。