『GOTH』夜の章、僕の章

GOTH 夜の章 (角川文庫) GOTH 僕の章 (角川文庫) 乙一 (角川書店 角川文庫)
何故か2分冊。
この程度の厚さだったら、一冊にまとめてくれていいのに。


殺人事件や死体に異常な興味を持つ高校生の主人公と同級生の森野夜。そんな彼らの性向のためか、異常な殺人事件に巻き込まれ、あるいは自ら関わりあいになり、異常者たちとの邂逅をはたす…。


怖いね。
やはり人間が一番怖い生き物だと思う。

氏はライトノベルでミステリーを書きたかったのだと言う。確かに氏の作品はライトノベル系の出版社から刊行されている作品も多いし、デビューも確かそういうところからだったはず。この作品に関しても不思議な美少女である森野夜という萌え要素はある。でもそれ以上にミステリーとしての部分の方が勝っていると思う。各話のどんでん返しがすごい。してやられた感たっぷり。そしてそれ以上にすごいのが主人公を含め、登場する殺人者たちの心情や行動の描き方。マジ怖えー。その辺のホラーなんかよりよっぽど怖い。
やるせなく、せつない話もあるんだけれど人間の怖さのほうを、より強く感じてしまう。氏の作品を読むのは『夏と花火と私の死体』以来2作目なんだけれど、あれも最後にはゾッとしたなあ。そんな"ゾッ"がこの『GOTH』にもある。