『霧の中の二剣士』

霧の中の二剣士 (創元推理文庫) フリッツ・ライバー (東京創元社 創元推理文庫
<ファファード&グレイ・マウザー>第3巻。
今回は喜劇色たっぷりの「ランクマーの夏枯れ時」が目立つ。偶然の上に偶然が重なる喜劇(当事者たちは至って真面目なんだけど)。いつもの重厚な雰囲気じゃないなあ、と。とは言っても、話の発端は結構軽いものだったりするんだけどね。その例が「魔導師の仕掛け」。シリーズ最初に書かれた中編で、実は中近東あたりが舞台で実在の地名も登場する。で、話は女性といちゃつくと相手が豚やナメクジになってしまうという呪いをかけられた二人が、どうにかしようとして冒険に旅立つというもの。なんか面白い。
また、各編が書かれた時期がバラバラなため、整合性を保つために新たに書き加えられている短編があり、そういう作者の配慮が嬉しいなあ、とも思う。