『不確定世界の探偵物語』

不確定世界の探偵物語 (創元SF文庫) 鏡明 (東京創元社 創元SF文庫)
この世にたった1台存在するタイムマシン。<ワンダーマシン>という名のそれを扱えるのは大富豪のエドワード・ブライスのみ。彼のさじ加減でこの世は如何様にも変化する。ある日起きてみると街が変わっていたり、先ほどまでの知り合いが全くの別人に変貌してしまったり。人々は変化を受け入れ、過去を徐々に忘れてゆく。そんな世界で探偵を営む男、ノーマン・ギブスン。何もかもが不確定なこの世界で確かな真実をつきとめることができるのか?


ハードボイルドです。ちょっぴり3枚目、でも女性(皆美人ときた)には何故かモテるしがない探偵、とくればハードボイルドでしょう。連作短編形式のこの物語、いくらでも続けられそうなものの、この一冊でお終い。まあちょうどいい長さだけどね。しかし変化し続ける世界での探偵業という設定も面白い。何せ依頼人すら変わってしまうこともあるのだから。時間がテーマの場合、大抵は未来の改変を阻止する方向に話がいくからな。あるいは変えようと思っても自己修復みたいなものが起きて結局変わらないとか。でもこの作品ではバンバン変わっちゃうからね。そこが面白い。


期せずして続けての時間モノでした。とは言え、まだ読んでない時間モノが3冊あるけどねー。