『動物園の鳥』

動物園の鳥 (創元推理文庫) 坂木司 (東京創元社 創元推理文庫
人間嫌いでひきこもりがちな鳥井と、彼の唯一の支えである中学時代からの友人坂木が出会う日常の謎、そして人々。シリーズ完結編。今回は長編。


支えているつもりが実は支えられていた。友人とのそんな関係。
坂木の鳥井に対する複雑な感情はこれまでにも少しではあるが語られてきた。今回はひきこもりの症状が少しでも改善するかということで、坂木の心にもメスが入る。


うーん。人間誰でも大切な人の一番になりたいって思うよね。頼られたいとか助けになってあげようとか。でもそれって「頼られる」という行為で、その人に対する自分という人間の価値を決めているのではなかろうか。そういった物差しがないと自分を測れない。その人に依存しているんだね。坂木達の関係もそんな感じ。


さて、結局鳥井は外の世界に羽ばたくのか?坂木は友人を手放しで見送ることができるのか?