『ベルカ、吠えないのか?』

ベルカ、吠えないのか? (文春文庫) 古川日出男 (文芸春秋社 文春文庫)
大戦末期、日本軍が占領後撤退を余儀なくされた島に残された4頭の軍用犬。そこから物語は始まる。彼ら(とその子孫達)が辿る数奇な運命。東西南北至る所に散らばり、戦争の世紀を駆け抜ける。ベトナム戦争朝鮮戦争、アフガン戦争…。そしてイヌよ、お前達はどこにいる?


歴史の中で人間達に運命を左右されながらも生きてゆく(血統を残す)イヌ達の話。それと以前特殊部隊に所属していたロシアの老人の復讐劇。これらが交互に語られる。先入観ではもっとドキュメンタリーっぽいものかと思っていたので、意外性がまずありそしてイヌ達の辿る運命に引き込まれた。文章も味があって良い。『アラビアの夜の種族』の時にも思ったんだけど。
でもイヌだからこその物語だね。これがネコや他のペットじゃあこんな話にはならないよな。