『あたしのなかの魔法』

あたしのなかの魔法 (ハヤカワ文庫FT) ジャスティーン・ラーバレスティア (早川書房 ハヤカワFT)
謎の老人ラウルとの接触によって膨大な魔法を得たリーズン。しかし彼女の身体は人以外のものに変貌しつつあった。このまま魔法に捕われてしまうのか、それとも人に戻るのか…。3部作最終巻。


魔法を使うことによって早死にするか、使わないことによって精神を病むか。魔法を持つ者は必ずこの二者択一を迫られる。現に魔法を否定したリーズンの母親は精神科に入院。そして魔法を使い過ぎたJ・Tには死が目前に迫る。そんな現状を打破することのできる力を得たリーズン。しかしその膨大な力は他人の魔法を奪い取ることで死を遠ざけて来た祖父ジェイソンの標的となり、そして祖母エズメラルダでさえ羨望の眼差しを向けてくる。
今回は久々にリーズンの母親も登場し、彼女の家族の物語でもあることを強調してくれる。…てゆーか、たまたま今回はリーズン達の話になっただけであって、他の一族にもこういった強力な魔法が脈脈と受け継がれているんじゃないのか?そんな印象も受けた。


最終的に魔法を捨てて普通に生きる道を選んだ人と、死の恐怖に怯えながらも魔法との共存を選んだ人。彼らの今後がどうなるか気になるところではある。


魔法の設定に加え、これまでのヤングアダルト作品にはあまりなかった主人公達の生き生きとした姿、また単純なハッピーエンドと行かないところも魅力の一つ。
いや、面白かったです。