『戦う司書と恋する爆弾』

戦う司書と恋する爆弾 (スーパーダッシュ文庫) 山形石雄 (集英社 スーパーダッシュ文庫
死んだ人間の魂は結晶となり「本」と呼ばれるものになる。何故ならば触れたものに魂の持ち主である人間の記憶、経験を追体験させることができるから。そんな世界の話。
謎の組織によって胸に爆弾を埋め込まれた青年コニオ。彼は「本」を管理する図書館の館長代行であるハミュッツを殺すように洗脳され、目的地へと向かうがその途中で偶然手に入れた「本」の持ち主である少女に恋をしてしまう…。


「本」を管理、守護する立場の人間は武装司書と呼ばれ、各々高い戦闘力を持ち畏れられているわけだけど、いまいちその立ち位置が理解し難い。「本」の重要性から警察みたいな機能も持っていると理解すればいいんだろうか。それともそのへんの細かい設定は後々語られるのかな。
あと気になるところと言えばハミュッツの科白。通常は間延びした喋り方をしており「〜なのよう」とか「〜なのねえ」とか表記されるのだが、戦闘時になると好戦的な態度となり喋り方もはっきりしたものになる。作者はこれらの間でコントラストをつけたかったんだろうが、間延びした喋り方ってのがどうもなあ。なんかしっくりこない感じ。続編も読んで行けばそうち慣れるんだろうが。


まあとにかく「本」の設定が面白い作品。本巻の「本」の持ち主である少女(と言っても「本」になっているのだから既に死んでしまっているわけで)と「本」の使い方もなかなか上手いと思う。
次巻以降に期待。