『時砂の王』

時砂の王 (ハヤカワ文庫JA) 小川一水 (早川書房 ハヤカワJA)
小川一水
26世紀。人類がETと呼ぶ謎の増殖型戦闘機械群によって地球は滅ぼされる。生き残るために人類は戦闘能力に優れた人型知性体(メッセンジャー)を生み出し、時間遡行を行わせる事で過去に現れるETの殲滅を目論む。


過去に戻りETとの戦闘を行うも敵の反撃を受け、また過去への遡行を余儀なくされる時間遡行軍。数多の戦闘を繰り返し、最終的な防衛ラインとして設定されたのが西暦248年。時の日本に辿り着いたメッセンジャー・Oは卑弥呼と出会い、彼らと共にETとの戦いに挑む。


過去に介入する事で未来は変化し、新たな時間枝が生じる(そもそもそのためにO達は送り込まれている)。そのために彼らが旅立った時代に戻る事は叶わない。人工生命体とは言え、生殖機能がないことを除けばヒトとたいして変わらない彼らが故郷に置いてきた想いや戦闘の度に募る空虚感。それが寂しくも悲しい。