『エンド・ゲーム』

エンド・ゲーム 常野物語 (集英社文庫) 恩田陸 (集英社 集英社文庫
正体不明の「あれ」と「裏返し」「裏返される」攻防を続ける常野一族。その一族に属する拝島暎子は夫の失踪以来、一族とも離れ娘の時子と二人で「あれ」に「裏返される」かもしれない恐怖と戦ってきた。そんなある日、偶然街で夫を見かけたことから、一族と接触することを決意する…。


全編を通して存在する暗く、不安な雰囲気。前作の『蒲公英草紙』とはまるっきり逆。サスペンスミステリ的で面白くもあるが、「あれ」の正体が謎なのは相変わらず。まあ、このままうやむやなのかな。戦っているものが何で、何が悪で何が善なのか。それがはっきりしないとすっきりしないが、生存競争なんてそんなもの。
同じ一族でもいろんな能力を持つ人がいるのだ。「裏返す」能力。「しまう」能力。「洗濯する」能力。能力が異なれば彼らの話もまるっきり違うものになるのだろう。
次の『常野物語』はどんな話を見せてくれるのか。


すっかり忘れてたが『光の帝国』の中の短編の続編なんだ。もう読んだのずいぶん前だからなー。これを機に読み返してみるか?