『フィーヴァードリーム』

フィーヴァードリーム〈上〉 (創元ノヴェルズ) フィーヴァードリーム〈下〉 (創元ノヴェルズ) ジョージ・R・R・マーティン (東京創元社 創元推理文庫

夜の種族たるジョシュア・ヨーク。彼はある決意のためにアブナー・マーシュを共同経営者として、蒸気船「フィーヴァードリーム」号を得てミシシッピ川流域を旅する。川を下りながら仲間を増やすジョシュア。その目的は?そして人間たるアブナーは彼の仲間となるのか、敵となるのか…。


種族を超えた男同士の友情に感動。そして舞台背景の設定にも感心。19世紀半ばのアメリカを舞台にすることで、吸血鬼と(その家畜たる)人間の関係と、白人と(その奴隷たる)黒人の関係を関連づけて議論する。そうすることで吸血鬼の所行にも自信を持って反論できなくなってしまう訳だ。大変面白かった。
読む前は、吸血鬼ものだけどなんか地味っぽいなあ、と思っていたのだがどうして。上巻での川を舞台にした蒸気船に関わる男達の生き様と、下巻に入ってからの展開に目が離せなくなる。


外輪を持つ蒸気船が舞台(てか、ある意味主役)なんて、渋い。世界名作劇場の「トムソーヤの冒険」を思い出してしまうんだ。あれもミシシッピ川だったし。そして種族を超えた友情としては「第5惑星」を思い出す。B級っぽい映画だったがあれも良かった…。