『そして粛清の扉を』

そして粛清の扉を (新潮文庫) 黒武洋 (新潮社 新潮社文庫)
卒業式を翌日に控えた高校。その1クラスを人質に取り、担任の女教師が立てこもる。綿密な計画と高い戦闘力を持ってして、次々に人質を殺害してゆく彼女の真意はどこに。


1クラス30人近くの全ての人間が何らかの犯罪を犯しているという状況がすごい。そんな極悪な彼らを冷静、冷酷に殺してゆき、しかも警察までも翻弄する主人公には爽快感すら憶えてしまう。…例え動機が正当で立派なものでありさらに被害者が悪であろうとも、殺人は犯罪なんだけどね…。
見た目は、そういう犯罪アクションものだけれど、根底には今の世の中が抱える教育問題、若者の犯罪率の増加といったテーマがある。子を持つ親としては先行き不安だ。


彼女が身を呈して提起した問題。その粛清のための扉が開く向こうに明るい未来はあるのか…。