『戦う司書と絶望の魔王』

戦う司書と絶望の魔王 (スーパーダッシュ文庫) 山形石雄 (集英社 スーパーダッシュ文庫
バントーラ図書館館長代行と数人の武装司書、そして神溺教団トップしか知らず、世界からひた隠しにされていた「天国」の存在。その正体は図書館館長であるルルタ=クーザンクーナ。突如として世界を滅ぼすために動き出した彼の真意は一体?今語られるルルタの過去。そしてハミュッツの過去。


ここに来ての過去編。
今の世界のシステムができる以前の、楽園時代と呼ばれていた頃。しかし堕落や犯罪を憶えた人間に絶望した神は「人類滅ぼします」宣言を下す。これに対抗するために予言にある救世主として崇められるルルタ。伝説の武器を集め、幾多の戦士の技術を取り込み強さを増す彼だが、神に対抗し世界を救うというプレッシャーに心の平穏は得られない。世界を救うことを諦めかけたとき、彼を癒してくれる少女ニーニウと出会う…。


ある意味これはルルタの「本」。一人で世界を救おうという重責、苦悩、孤独、ニーニウと出会えたことの喜び。そして絶望とわずかな希望。二千年の永きに渡る彼の忍耐も限度に近づき…。かつて世界を滅亡から救った救世主は、何故今世界を滅ぼそうとするのか。これまでの伏線を回収しつつ、物語は収束に向かう。
てか、こうなるとハミュッツが悪役にしか見えない…。