『ガーディアン』

ガーディアン (光文社文庫) 石持浅海 (光文社 光文社文庫
小学生の頃に父親を亡くした勅使河原冴。それ以来彼女に危険が及びそうになると、周囲にバリアが有るかの如くその危険から彼女を守ってくれる「力」を感じるようになる。「ガーディアン」と彼女が名付けたその力は、彼女に危害を及ぼそうとする人間にも容赦なく報復を成す…。


本書は二部構成から成り、第一部は勅使河原冴の章。これは彼女が会社で所属するプロジェクト内での同僚の死に、「ガーディアン」がどのように関わっているのかというミステリ。そして間章を挟み第二部は栗原円の章。同じく「ガーディアン」の保護を受ける中学2年の円が郵便局で強盗事件に巻き込まれる話。こちらはミステリというよりもアクション。


「ガーディアン」が実は亡くなった父親なのではないかと信じる冴。将来の夫となる人物と出会ったことでその「力」は失せるが、今度は子である円に受け継がれる。第二部ではその「力」が過激になっているが、それは事件の性質によるものか、あるいはやはり子よりも孫の方が可愛い故の過激化なのか。そういうことを考えると面白いが、円の章はもう少し書き込んで、1冊の本にしてくれても良かったかなあという感じ。終わりも唐突だし、円のキャラもクールで魅力的なだけにね。
まあ、1冊の本の中に設定は同じだけど全く毛色の違う作品が並んでいるというのも面白いけどね。あるいはそれを狙ったのかも。