『ゾティーク幻妖怪異譚』

ゾティーク幻妖怪異譚 (創元推理文庫) C・A・スミス (東京創元社 創元推理文庫
太陽の衰えた未来の地球。そこに存在する大陸ゾティークを舞台にした、魔術師や妖術師、王侯貴族や魔物が入り乱れる短編集。


『イルーニュの巨人』の時にも感じた言葉の巧みさ、退廃した妖しい世界を綴る修飾語の数々は、もともと詩人として世に出た経歴から成っているんだな。この雰囲気がホントに素晴らしい。だいたいはバッドエンドな話が多いのだが、たまにコミカルな話や、これってある意味ハッピーエンド?みたいな話もあって面白い。
巻末の解説も読み応えがある。


短編集とは言え背景設定は同じなので、同じ人物名、同じ地名が登場することもしばしば。収録順に時間もきちんと経過しているようなので、見知った地名が出る度にアレコレ考える。惜しむらくは地図が載っていればもっとイメージが湧き易かったかな。