『海の底』

海の底 (角川文庫) 有川浩 (角川書店 角川文庫)
米軍横須賀基地で開かれる桜祭。その最中に突如として巨大な甲殻類が群れを成して上陸し、人々を襲い始める!停泊中の海上自衛隊所属の潜水艦に辛くも逃げ込んだ子供たち13人と乗員2名。巨大甲殻類の対処に追われる警察組織と救助を待つ子供たち。彼らの運命は…?


所謂<自衛隊三部作>の1つ。ラストを飾る海上自衛隊編。


いろいろなものがイメージされる。設定と雰囲気から「パトレイバー」の廃棄物13号編。子供たちと彼らを助ける大人の人数と艦内の状況から「バイファム」。ただしこっちの子供たちの方が”イマドキ”であるが。
とはいえ面白かったのは事実。やっぱり熱い大人が活躍するのはいいもんだ。


しかし氏の作品って、地味にイヤーな人間が登場するよなー。今回の圭介とその母親(というか主に母親の方だが)然り、『塩の街』の団地のおばさん然り。読んだことはないけどドラマの「フリーター、家を買う。」も近所のおばさんが嫌な感じだったよな。してみると近所付き合いの億劫さというか、そこに潜む悪意というか、そういうものに何かしら想いがあるのか。


怪獣パニックものと子供たちの成長を描く、ということでなかなか良かったけれども、三部作の中では個人的には『空の中』が一番好きだなー。