『ここがウィネトカなら、きみはジュディ 時間SF傑作選』

ここがウィネトカなら、きみはジュディ 時間SF傑作選 (SFマガジン創刊50周年記念アンソロジー) 大森望 編 (早川書房 ハヤカワSF)
時間SFのアンソロジー


いやあ、どれも味があって大変素晴らしい。やっぱり時間ものは楽しいなあ。


チャンの新作が読めたのも嬉しい。『千夜一夜物語』風のなんとも味わいのある作品。他にはプリーストの『限りなき夏』の雰囲気が良かった。作中のある事象を指して絵画のようだという描写があるのだけど、この作品自体が絵画のように感じた。あとロマンティックなもので挙げれば表題作の『ここがウィネトカなら、きみはジュディ』と『彼らの生涯の最愛の時』。後者はともすればコメディっぽく感じられるが(時空転移の方法がマックドナルドって…)、お互い時間軸を逆に進む恋人たちは悲しいよな。


他は『昨日は月曜日だった』や『しばし天の祝福より遠ざかり……』のようなシニカルなものも好み。特に前者みたいな設定は大好き。