『イニシエーション・ラブ』

イニシエーション・ラブ (文春文庫) 乾くるみ (文芸春秋社 文春文庫)
大学生の鈴木は合コンで一人の女性と知り合う。彼女、成岡繭子に彼は夢中になり、付き合うことになるのだが…。


おもいっきり恋愛小説。ただし、読み終わると絶対もう一度読み返したくなる、という噂の作品。読みながらも「もう一度読み返したくなる」というフレーズの意味を考える。それは例えば『ハサミ男』みたいな、こっちの固定観念を覆すようなもので、記述を確認したくなるようなものしかないよなあ、と思い、それでも恋愛小説でそんなにひどいどんでん返しもなかろう、と思っていたのだが…。


ああ、そういうことかー。確かにこれは始めから確認したくなるわ。というか、ポイントを幾つか確認した。なるほどって感じ。
そして初読と再読ではまるっきり思い抱く感想がちがうだろうなあ、こりゃ。


仕掛けとしては大変面白い。だが中身自体は良くあるのであろう恋愛小説で、しかもやたらと性行為の描写が出てくるので、こっ恥ずかしい。恋愛ドラマとかも観てられない体質なので(くっついたり離れたりとか、観ていてイライラする)、その点はしんどかった。