『そして、警官は奔る』

そして、警官は奔る (講談社文庫) 日明恩 (講談社 講談社文庫)
蒲田署に異動となった武本は、監禁されていた外国人幼女を助けたことがきっかけで、未成年の人身売買事件を追う。その過程で知る不法入国者とその子供を助ける人の存在。一方でキャリアとして復帰することの決まったかつての相棒、潮崎。彼もまた今は一般人という立場でありながら、武本の追う事件に絡んでゆく…。


『それでも、警官は微笑う』に続くシリーズ2作目。


やるせない話だ。そして明確な正解が無い。それは作中にあるように犯罪者も警官も人だからか。しかし改善はされているのか。そうであって欲しいが。
登場人物もやるせない。警察官であるが故に背負わされた悲惨な過去を持つ、武本の相棒である和田もそうだし、子供たちを守るために罪に目を瞑る小菅もそう。しかし彼らは彼らなりに大切な想いを持っている。そんな彼らを支えるために潮崎がキャリアとして戻ってくるのは喜ばしい。


しかし、元警察官で来年度から警察庁入庁が決まっているとはいえ今はただの一般人(しかも無職)である潮崎が、そんなに事件に絡んできていいのか?と思ったのだが、無口で無骨な武本だからこそ、明るくお喋りな潮崎がいないと話が進まないのかもね。