『終戦のローレライ』3、4巻

終戦のローレライ(3) (講談社文庫) 終戦のローレライ(4) (講談社文庫) 福井晴敏 (講談社 講談社文庫)
五島列島沖で米潜水艦の執拗な攻撃をかわしながらも、”ローレライ・システム”の要である特殊潜航艇<ナーバル>を回収した<伊507>。しかしその正体に愕然とする。”ローレライ・システム”とは一人の少女に対する薬物投与の副作用によって得られた超感知能力を兵器に転用したものだった。
ローレライ=パウラを加え、一路ウェーク島へと向かう<伊507>。そこで出会うは<伊507>を特殊任務に就かせた人物、浅倉良橘。彼の語る「あるべき終戦の形」は<伊507>を更なる激戦地へと誘う…。


水中で人(物も)の意思や存在を感知できるパウラ・エブナー。その能力故の”ローレライ・システム”だったが、逆にその能力故に死に逝く人々の意思に引き込まれ、一度敵艦を撃破すると数時間は気を失ってしまい、システムとして使用不可に陥るという欠陥も併せ持つ。
その”システムダウン”を避けるために採った<伊507>の戦法がすごい。そりゃあ水中でも手に取るように物が見える”ローレライ・システム”がなければそんなことは不可能なわけで…。いや、実際見えても可能なのか?という感じ。ま、読んでいて面白いことには違いないのだけど。


基本的には男達の熱い生き様に感動、という点では『亡国のイージス』に同じ。そこに戦争というファクターが絡んでくるため、考えさせられる点も含む。
実際、私たちは戦後の時代しか知らないわけだけど、戦中を知る人達は今の世の中をどう思うのか、とかね。