『仔羊の巣』

　坂木司　（東京創元社　創元推理文庫）
ひきこもりの鳥井とその友人、坂木が出会う日常の謎、そして人々。『青空の卵』に続くシリーズ第２弾。

ここまで過去に登場した人物が普通の顔をして出てくる連作短編集も珍しいと思う。普通の顔どころか、かなり重要な役を負ってたりするし。そういう意味では本当に人間関係に焦点を当てることが、このシリーズの目的なんだろう。主役をひきこもりに設定することで、それが顕著に浮き上がってくるんだろうなあ。

シリーズ第３弾にして最終巻、『動物園の鳥』が10月に文庫化される。この巻で鳥井は外の世界に出ることができるのか？そのとき坂木は手放しで彼のその姿勢を喜ぶことができるのか？…次巻が楽しみ。