『リピート』

リピート (文春文庫) 乾くるみ (文芸春秋社 文春文庫)
ある日、大学生の毛利のもとに見知らぬ男から電話がかかってくる。それは数時間後に起こる地震を詳細に予知するものだった。その男、風間は語る。私は未来から過去に戻って来た。あなたも10ヶ月だけ過去に戻れる”ツアー”に参加しませんか?、と。無作為に選ばれた毛利達9人は10ヶ月前へと戻る”ツアー”に参加する。その先には未来の記憶を持つ人間としての有利な生活が待っているはずだったのだが…。


またまた時間もの。今回は自分の意識のみが過去の身体へ戻るという『リプレイ』や『ターン』に近い設定。実際作中にも『リプレイ』に関する記述がある。ただし、本作の場合はある時ある場所に行かなければ過去への意識の遡行、つまりリピートが起こらないという制約もある。その場所にさえ行けば何度でも10ヶ月をやり直すことができ、行かなければリピートは1回だけでお終い。戻る事ができるのが10ヶ月という短さも面白い。いや、読み進むにつれて長いんじゃねーのと思ってしまうのだが。
時間遡行というSFよりもそれを利用したミステリーの側面の強い作品でした。いろいろと予想したものの全てハズレ。しかも驚きの展開だし。結構面白かった。ちょっぴりダークな所もこれまでの時間ものとは少し異なっていて良い。