『死神の精度』

死神の精度 (文春文庫) 伊坂幸太郎 (文芸春秋社 文春文庫)
死が予定されている人物は7日間、死神の査定を受ける。その結果出される報告、「可」か「見送り」かで死が予定どおり実行されるか、あるいは延期される。そんな死神の一人、千葉が出会う6人の人間の物語。


いやー、やっぱり氏の作品はいいなあ。いつも通り淡々としている。かといって山場がないとかそういうのじゃあないんだ。必要以上に力を入れないって感じなのかな。主人公が死神である以上どうしたって「死」が絡んでくるのだけど、重苦しくないし。むしろ読後感が清々しいのは何故?
千葉(に代表される死神)のキャラも面白い。彼らは人間なんてどうでもいいと思っているのだが、一つだけ人間が作り出したもので大好物がある。ミュージック。彼らは暇さえあればCDショップの試聴コーナーに赴く。「音楽」と言わないところも面白い。それに人間の文化に疎いため、会話に齟齬が生じたりもする。そういった飄々としたキャラも作品に重苦しさを感じさせない一つの要因だろうか。


基本的には短編集なのだけど、主人公が同じなので繋がりもある。そしていつもの如くファンへのお楽しみもある。今回の登場人物は『重力ピエロ』から。


さて、映画の出来はどうなのかな。