『エリ・エリ』

エリ・エリ (ハルキ文庫) 平谷美樹 (角川春樹事務所 ハルキ文庫)
21世紀も半ばが過ぎ、科学の発展に伴い人々の信仰心は薄れつつあった。地方の教会をまかされている神父、榊も自身の信仰心の薄れに苦悩しつつ日々を過ごしていた。そんなある日、ヴァチカンに呼ばれ、ある任務に就くことになる。SETIの一環で外宇宙探査を目的とした「ホメロス計画」。それに参加し、神の存在を証明せよと言うのだ。


スミソニアンで宗教画をたくさん見、ホテルでパラパラと聖書を読み、その勢いで帰国後読み始めたのがこれ。
信仰心が薄れつつある世で神の存在を見つけられるか、という背景設定が興味深い。人物描写もしっかりしてる。主な登場人物は3人。「ホメロス計画」の遂行に深く関わっている科学者。宇宙人の影に怯える精神科医。そして信仰心に疑問を抱く神父。なかなかバラエティ豊か。それぞれのパートの話が面白く、すんなり読めるのは文章が上手いのかな。
とにかく。続きが気になるー、という展開。面白かった。


ちなみにタイトルの「エリ」とはアラム語で「神」のこと。有名なキリストの最後の言葉「エリ、エリ、レマ、サバクタニ」から。