『あたしと魔女の扉』

あたしと魔女の扉 (ハヤカワ文庫 FT ラ 3-1) ジャスティーン・ラーバレスティア (早川書房 ハヤカワFT)
リーズンは母親と二人でオーストラリア各地を転々として暮らしている。極悪な魔女であると母親から教えられる祖母から逃れるためだ。しかしその母親が精神を煩い入院してしまったため、リーズンは祖母に引き取られることになる。母親から教え込まれた印象とは異なる祖母。しかしリーズンは彼女を拒み家出の計画を練る。ある時鍵の掛かった裏口を開けると、そこは雪の降りしきるニューヨークに通じていた…。


ジュヴナイルのファンタジー。そのためか読み易い。劇的なストーリー展開という訳でもないけどページを捲る手は止まらない。ふと思った。飽きっぽい子供を惹き付けるためにはリーダビリティが高くないといけないのかもしれない。実際子供向けとは言っても面白い本はたくさんあるし。そして案外シビアな内容のものも多い。これも原題が『Magic or Madness』となっており、多少ネタバレになってしまうが、魔法を受け入れるか受け入れずに狂気に陥るか、てことなわけ。15歳の少年少女がそんな境遇に陥ってしまうのだからシビアだ。
母親に教え込まれたため、初めは彼女も魔法の存在を否定し、祖母も受け入れない。しかし秘密の扉を開けてしまったため魔法の存在を受け入れざるを得なくなる。そして徐々に明かされる秘密。しかしその秘密に対抗しようとする主人公。今後の展開が楽しみ。