『蒲公英草紙』

蒲公英草紙 常野物語 (集英社文庫) 恩田陸 (集英社 集英社文庫

すっかり書くのを忘れてた。
<常野物語>の第2作。3作目の『エンドゲーム』が文庫化されるので読んだわけ。
文明開化の波が押し寄せ、人々の暮らしが変わり始める頃。東北のとある農村に住む医師の娘、峰子は村の名家である槙村の病弱な末娘、聡子の遊び相手として槙村家に通うようになる。そこで出会う様々な人々。そして訪れる不思議な雰囲気を持つ一家。彼らとの日常を、峰子は「蒲公英草紙」と名付けた日記にしたためる…。


"たんぽぽ"の名に相応しい、のどかなそして暖かい雰囲気で始まる作品。しかしそれは物語終盤の悲劇へのスタート地点に過ぎない。そして始めののどかな雰囲気はどこへ去ったかと思われる終章。前半が峰子や聡子を始め槙村の家に集う人々の日常を暖かい視点で描いた物語だっただけに、ラストの絶望感はひとしお。もうちょっと救いのある終わり方をして欲しかったと思うのは私が甘い人間だから?


あ、一応常野一族の人間は出てくるけれど、メインの話は峰子と聡子。
次の『エンドゲーム』はもっと常野の能力全開なお話っぽいが、果たして。