『シンギュラリティ・スカイ』

シンギュラリティ・スカイ (ハヤカワ文庫SF) チャールズ・ストロス (早川書房 ハヤカワSF)
とある惑星。突然空から降ってくる無数の携帯電話。電話から聞こえる微かな声は情報と引き換えに話し手の望むものを与えると約束する。…そしてそれにより起こるシンギュラリティ。
植民星で起こった混乱を敵性存在の攻撃ととらえた皇帝は宙軍艦隊の派遣を決定する。艦隊旗艦<ロード・ヴァネク>に乗ることになった地球出身の艦船技師マーティンと地球国連大使のレイチェル。彼らの各々の使命、軍人の思惑を乗せ、艦隊は遠く離れた植民星へ出発する。


「シンギュラリティ」というのは日本語では「特異点」等と訳される。コンピュータ業界から気象業界まで幅広く使われる言葉のようだが、この作品の解説から引用すると「科学技術の幾何級数的進歩によって現在からは理解も予測もできない段階へと世界が到達する時点を指す。」ということらしい。


話の出だしがいい。空から降ってきた携帯電話が「楽しませてくれたら望みを何でも叶える」なんて話しかけてくるシュールさ。そこから怒濤のように紡ぎ出される難解用語&ガジェット。しかし展開は簡単な話で、要は宇宙戦艦を舞台にしたスパイものって感じ。まだまだこの舞台仕掛けでは遊べるぞ。『アイアン・サンライズ』も見つけ次第買わなければ。