『戦う司書と雷の愚者』

戦う司書と雷の愚者 BOOK2 (集英社スーパーダッシュ文庫) 山形石雄 (集英社 スーパーダッシュ文庫
神立図書館を襲う神溺教団の「怪物」。そして前巻の事件で死亡した武装司書ルイモンの「本」が奪われる。武装司書達が「怪物」の捜索に乗り出す中、司書見習いのノロティはルイモンの「本」の奪還を命じられるが…。


死んだ人間の魂である「本」を保管、管理する武装司書。彼らと敵対し、その名を知り口にするだけで厳罰に処されるという神溺教団。彼らが戦闘に用いる「魔法」は魔法審議を行い世界の常識とされる公理を覆させることで獲得される。なかには生まれつき魔法の能力を持つものもいるらしいが。そんな背景設定が徐々に語られていく感じ。


前巻と同じく主人公はタイトルの「雷の愚者」の方。なんかドラえもんの映画のタイトルみたいだ。


しかし「本」というシステムは著者にとっても物語を書く上で随分と使いやすいものになっているような気がする。「本」を読んだということにすれば本来ならば知り得る事のできない過去の人間の心理等を詳細に描写する事ができるからなあ。やっぱりいいアイデアがあれば小説が書けるんだ。


毎回異なる人物にスポットが当てられるので、本来の主人公であるハミュッツのスタンスはまだよくわからない。今のところ「戦闘を好む残忍な性格」であるのだが、果たして彼女の真意は如何に。