『てるてるあした』

てるてるあした (幻冬舎文庫) 加納朋子 (幻冬舎 幻冬舎文庫
享楽的な両親の所為で夜逃げをするはめになり、一人佐々良の駅に降り立った雨宮照代。せっかく合格した高校にも行けなくなり、遠い親戚を頼ることになった彼女。しかもその親戚は厳格で近隣の子供達には魔女と噂されている程。
これまでの、親に頼り何でもあるのが当たり前な暮らしから一変した田舎での生活が始まる…。


『ささらさや』の続編。基本的な登場人物は同じく、前作の主人公であるサヤと息子のユウ坊。そして彼女らを見守る三婆、お夏、珠子、久代。今回のピックアップは久代さん。


『凍りのくじら』の理帆子といい、今作の照代といい、十代半ばの子は皆不器用で素直じゃないんだな。その点は共感できる。が、ちょっと態度が子供じみてないかい。まあ、夜逃げして親とも離れ遠い親戚とは言え見ず知らずのお祖母さんと暮らすことになったとなれば、そんな態度もわからんでもないがな。そしてそんな彼女だからこその成長の物語でもあるのか。


厳しくしてくれる人は何よりも得難い。そんな、人の暖かさが素晴らしい作品。憎んですらいた母親を許せるようにまでなった彼女。その先の人生をまた見てみたい。