『容疑者Xの献身』

容疑者Xの献身 (文春文庫) 東野圭吾 (文芸春秋社 文春文庫)
高校で数学教師を務める石神。彼はアパートの隣人である花岡靖子に密かな想いを寄せていた。そんなある日花岡が別れた夫を殺害してしまったことを知る。石神は彼女への想いから、非凡な数学の才能を活かして犯罪の隠蔽を手助けする。しかし彼らの前に立ちふさがるのは石神の同期でもあるもう一人の天才、湯川学。


ガリレオ>シリーズ3作目にして直木賞受賞作。
まあ、タイトルを見ただけでどういった話なのか、だいたいは想像がついてしまうわけだが。


「それ、数学か。哲学的に聞こえるけどな。」
そう言う草薙の意見に同意。数学は苦手なので数式の証明とかそんなのばかりやってんのかと思ってたけど、とある命題の証明とかなんてホント、哲学的。そういった思考回路だと謎解きだったり、今作のように犯罪の隠蔽に挑戦するといったことに数学的センスが関わることも全くおかしいことではないのだろう。


石神に助けてもらったことから彼の呪縛を逃れることができず、今後他の男性と親しくなることもできないんじゃないかと心配する靖子が少々滑稽でもある。いや、それ以前に罪犯してるし。ちょっと自分勝手なんじゃないか、と。


個人的にはできれば石神の望みが叶えられて欲しかった。罪は罰せられるべきだが、それでも悲し過ぎる…。