『戦う司書と虚言者の宴』

戦う司書と虚言者の宴 (スーパーダッシュ文庫) 山形石雄 (集英社 スーパーダッシュ文庫
前巻から1年。神溺教団の滅亡によって世界に平和がもたらされ、年に一度の武装司書達の宴が行われていた。その席にはかつて神溺教団の基盤を崩し、武装司書ひいては世界すらも破滅に導く恐れがあるとして、ハミュッツがその命を狙っていたオリビア(レナス)の姿もあった。追われる生活に疲れ、記憶を消去することで生き残る道を選択した彼女だったが…。


前巻で一区切りがつき、新章突入といった趣の今巻。新たに神溺教団のトップとなったミンスと彼が目指す新しい教団の在り方が良い。これまでの、幸福を得るためならばどんな手段を採っても構わないという悪徳集団的な思想とは異なり、善意に基づいて幸福を求める。それが今後も目指す通りに進んでくれれば喜ばしい限りだが。


世界は嘘で塗り固められている。組織を守るための嘘。大切な者を守るための嘘。世界秩序を守るための嘘。世界秩序を壊すための嘘。そして記憶を消去してまで吐き通す嘘…。その中のいくつの嘘が世に露呈されるのか。