『拷問者の影』

拷問者の影(新装版 新しい太陽の書1) (ハヤカワ文庫SF) ジーン・ウルフ (早川書房 ハヤカワSF)
中世的世界で拷問者組合の徒弟として暮らすセヴェリアン。彼らの住まう<塔>に送られてきた人物に対して速やかに、組合に伝わる秘術をもってして拷問するのが彼らの役目。ある日、彼は<塔>に連れて来られた一人の貴婦人セクラと出会う。そしてこの出会いがセヴェリアンの運命を変える…。


新しい太陽の書>第1巻。
これは面白い。始め、世界観に慣れるまでは少々苦労するが、それでも慣れてしまえばどっぷりとハマってしまう。過去を回想して物語を書くというスタイルをとっているために文章に哲学的要素というか奥深いものを感じるのかと思っていたのだが、解説を読むとどうやら氏のスタイルが元々そういうもののようだ。この文章から滲み出る雰囲気が良い。
パッと見は異世界ファンタジーっぽいのだが、所々にSF的用語が散りばめられており、なかなか一筋縄では行かない様子。と言うか、「異世界」でもないな。


まあとにかく。拷問者という、およそ物語の主人公には似つかわしくない職業のセヴェリアンの今後の冒険が楽しみ。