『新しい太陽のウールス』

新しい太陽のウールス  (ハヤカワ文庫 SF ウ 6-9) ジーン・ウルフ (早川書房 ハヤカワSF)
共和国の独裁者となったセヴェリアン。太陽の衰えたウールスに<新しい太陽>をもたらすべく宇宙船で旅立つ彼を待ち受けるものとは…?


前巻で「セヴェリアンが独裁者となりウールスに<新しい太陽>をもたらすでしょう、めでたしめでたし」でシリーズは終了となっていたのだが、その、<新しい太陽>をもたらす過程を詳しく書きましょうよ、てことで書かれたのが本書、らしい。
相変わらず難解な部分が多い。そして気がつくと時や場所を縦横無尽に移動していたりと、なかなか油断のならない読書。解説でキリストの生涯との関連が示唆されていたが、確かにイエソドから戻ったセヴェリアンはそんな感じの扱い。死からの復活に関する記述も多いのも、そういった関連かと思えてしまう。


しかしこれほど、もう一度読みたい/読まなければ、と思った本はない。まあ言い換えれば読者に対して親切でないということなのかも知れないが、文章の端々に少し顔を出している単語や登場人物たちの言葉で綴られる言葉から、物語全体を推測し再構成する作業というのもたまには面白い。今のところはなんとなくわかったような気になっているだけなのだが、次はいろいろな点に注意しながら読むと新たな発見があるかもしれないな。