『アイの物語』

アイの物語 (角川文庫) 山本弘 (角川書店 角川文庫)
AIに支配され、ヒトの数も少なくなった未来。人類の敵とAIを憎む青年は一体の女性型アンドロイドと出会う。彼女は物語を語る。AIとヒトの在り方について綴られた物語を。そしてAIとヒトの辿ってきた真実の歴史を…。


短編7つとその間を埋めるインターミッションから成る本作。氏のHPによるともともとは別々の雑誌に掲載された短編を、3作程書き上げた時点でこういう形にまとめようと考えたらしい。それにしてもこんな物語にまとめあげるとは、すごいな。


アンドロイド、アイビスの語る話のうち6つはフィクション(物語)であり、最後の1つだけが歴史的事実(この作品の中での、ね)。しかしフィクションとは言えそれは現実に影響を及ぼすため、6つの短編は最後の物語に収束する。そう、物語は世界を変えられる。つまりはそれが言いたいのだ。


そして描かれる論理的、倫理的に不完全な人類と、完全な機械の比較。
今でさえロボットはTV等で良く見かけるようになったが、彼らにはまだ意思がない。彼らが意思を持ち得る日がいつか来るのだろうか?