『陽気なギャングが地球を回す』

陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫) 伊坂幸太郎 (祥伝社 祥伝社文庫
それぞれに特殊な能力を持つ4人組の銀行強盗集団。無事(?)仕事を終えた彼らだったが、逃走中に偶然別の強盗団と出くわし、まんまと車ごと現金を奪われてしまう。現金を取り戻すべく、追跡が始まる。


4人の特殊能力というのが面白い。
成瀬(男)は嘘を100%見抜く。
響野(男)はやたらと弁が立つ。
久遠(男)はスリの名人。若いのに。
雪子(女)は完璧な体内時計を持つ。


響野の「弁が立つ」というのは他の人達、特に雪子や成瀬に比べれば特殊っぽさが劣るのだけど、実際のところ作品中で一番キャラが立っているのは彼ではなかろうかと。京極作品の榎木津を少し大人しくして、少し常識的にしたようなキャラかな。


文章からは、なんだかぎこちないような、青臭いような、そんな印象を受ける。主語が省略されている場合が多いので誰の感情、行動なのか少し戸惑うところもあるし。とか思って解説を読んでみたらデビューして3作目か。なるほど随分初期の作品なんだなあ。ま、内容自体は他の氏の作品と同じで、飄々とした人々とその会話が粋で好き。


しかし祥子みたいなキャラは良く出てくるよなー。