『陽気なギャングの日常と襲撃』

　伊坂幸太郎　（祥伝社　祥伝社文庫）
前作から１年後。４人それぞれにスポットを当てた短編と、そこに端を発する事件。銀行強盗の最中に出くわした誘拐事件。被害者を救うべく４人は動き出す。

もともとは短編が存在し、それに加筆訂正を行った結果、このような形になったらしい。なのでそれぞれ独立した話なのだけれど時間や人物は相互に関連する。そういったリンクや伏線の回収は上手い、と思うが、そこまで完璧だとちょっとやり過ぎかなーという気もしないでもない。まあ響野や久遠の会話が軽妙で楽しいのでいいんだけど。特殊能力的に他の４人に見劣りする響野の能力が、実はこの作品を盛り上げているという。

というか、このシリーズってキャラ小説じゃないか？もちろん内容もいいのだけど、登場人物のキャラが出来過ぎてる。

そして前作同様、章のタイトル下に書かれる『広辞苑』風の単語説明がツボ。ほんと、センスいいわ。